ASVスキャンが失敗し続ける理由:CVSSのしきい値、誤検知&対処すべきポイント

ASVスキャンが失敗し続ける理由:CVSSのしきい値、誤検知 & 対処すべきポイント

ほとんどのASVスキャンの失敗は、実際の脆弱性が原因ではありません。プロセスの仕組み、しきい値の位置、出力結果の正しい解釈、そしてスキャナーが誤った情報を含むバージョン文字列を読み取ってしまう場合の影響を正しく理解していないことによって発生しています。

ASV — Approved Scanning Vendor, PCI Security Standards Council(PCI SSC)によって認定されたベンダーは、 PCI DSS 要件11.3.2で求められる外部脆弱性スキャンを実施します。コンプライアンスプログラムを失敗に導く要因の中でも、特に多い「3つの現実」が存在します。

1. CVSS 4.0のしきい値は想像よりも低い

PCI DSS v4.0.1では、外部ASVスキャンの合否判定におけるカットオフはCVSSスコア4.0と定められています。これは「Medium(中程度)」の下限にあたり、「High」や「Critical」ではありません。インターネットに公開され、かつカード会員データ環境(CDE)に接続されているホスト上で、CVSS 4.0の指摘が1件でも存在すると、そのスキャン全体は無効となり、コンプライアンスの検証は不合格となります。修正対応および再スキャンが完了するまで、認証は進めることができません。

PCI ASVスキャン — CVSS合否判定基準
CVSS 範囲 重大度 ASV スキャン結果
0.0 – 3.9 Low / None Pass ✓
4.0 – 6.9 Medium Fail ✗
7.0 – 8.9 High Fail ✗
9.0 – 10.0 Critical Fail ✗

「Medium(中程度)」という表現は、対応が任意であるかのように聞こえるかもしれません。しかし、現行基準ではそうではありません。1件でも該当すると、四半期ごとの脆弱性スキャンサイクル全体が停止してしまいます。

重要なポイントとして、この固定されたCVSS 4.0のしきい値は、外部ASVスキャン(Requirement 11.3.2)に適用されます。一方、Requirement 11.3.1に基づく内部脆弱性スキャンでは、Requirement 6.3.1で定義された自社のリスク評価手法に従って基準を設定します。 つまり、内部スキャンのしきい値は自社で定義できますが、外部ASVスキャンの基準は変更できません。

2. ASVスキャン結果がクリーンでも、QSA提出用レポートとしてそのまま通用するわけではありません

これは、私たちがFintech業界で最も多く目にするギャップの一つです。企業がスキャンツールを実行し、クリーンな結果を得たことで対応完了だと判断してしまうものの、実際には検証段階でQSAからレポート全体を差し戻されてしまうケースです。

問題は単純です。自動化されたスキャナーは生データを生成するだけであり、QSAが求めているのはコンプライアンスとして説明可能な証跡です。この2つは同じものではありません。

1回のスキャンでは数十件の指摘が返されることがあり、その多くはバナーグラビングWAFの干渉、またはバージョン検出の誤りによる誤検知です。これらは自動的にクリーンアップされることはありません。PCI DSS v4.0.1のもとでは、ASVレポートにおいてすべての指摘事項を優先順位付けし、すべての誤検知を適切に文書化、さらにCVSS 4.0以上の脆弱性については修正するか、正式に異議申立てを行う必要があります。

コンサルタントによる精査がない場合、フィルタリングされていない指摘事項がそのままエンジニアリングチームに渡されてしまいます。その結果、チームはクロスチェックや再テストを繰り返し、最終的にはその半分がそもそも対応すべき項目ではなかったと気づくことになります。ノイズにより、数週間の工数が失われてしまいます。

3. バックポートの罠:なぜASVスキャンは誤検知を生むのか

以下は、なぜ手動による精査が重要なのかを示す最も一般的な例です。

Ubuntuホストのバナーには OpenSSH 8.2 と表示されています。スキャナーはこれを基に CVE-2023-38408 と照合し、バージョン文字列との一致から自動的に失敗としてフラグ付けします。しかし実際には、その修正はすでにディストリビューションの8.2パッケージにバックポートされており、ホスト自体はパッチ適用済みです。ただしスキャナーはその事実を認識できません。

ASVスキャンはバナーグラビングに依存しており、サービスが提示するバージョン文字列を読み取り、それをCVEデータベースと照合します。そのため、ディストリビューションがどのパッチをバックポートしているかを把握する手段がありません。 RHEL、Debian、Ubuntuはいずれもこのバックポート方式を広く採用しています。パッケージのバージョン自体は変わらない一方で、実際の脆弱性はすでに修正されている場合があります。

正しい対応は、その指摘を無視することではなく、適切に異議申し立てを行い、証拠を収集します。例えば、インストール済みパッケージのバージョン(dpkg -lrpm -q)、バックポートを確認できるベンダーのセキュリティアドバイザリ、そして実際に適用されているパッチ済みのバージョン情報です。 それらを明確な説明とともに文書化し、ASVに提出します。

ただし、すべてを異議申し立てするべきではありません。ASVは、毎四半期30件以上の指摘をまとめて異議申し立てする企業の傾向を認識しています。修正できるものは修正し、確実な証拠に裏付けられた真の誤検知のみを慎重に異議申し立てすべきです。

結論

「Medium」は軽視できるスコアではありません。クリーンな結果は完成報告ではありません。バージョン情報が脆弱性を意味しない場合もあります。この3点の誤解が、実際のセキュリティ問題そのものよりも多くのASVスキャン失敗の原因になっています。 これら3つのギャップは、本来検出すべき実際のセキュリティ問題よりも多くのASVスキャンサイクル失敗の原因となっています。

FAQ

PCI ASVスキャンで不合格になるCVSSスコアはいくつですか?

 PCI DSS v4.0.1では、外部脆弱性スキャンにおいてCVSSスコア4.0以上の脆弱性(Mediumレベル:4.0〜6.9を含む)が存在する場合、ASVスキャンは自動的に不合格となります。コンプライアンスが有効と認められるためには、該当箇所を修正し、再スキャンを実施する必要があります。

ASVスキャンでの誤検知に対して異議申し立てを行うことはできますか?

はい。ある指摘が誤検知である場合、例えばバナーグラビングによって誤って識別されたバックポート済みパッチなどが該当します。その場合は、インストール済みパッケージのバージョン情報、ベンダーのセキュリティアドバイザリ、設定情報などの証拠をASVに提出することができます。 ASVは提出された内容を精査し、誤検知であることが確認された場合には再分類を行います。

ASVスキャンと内部脆弱性スキャンの違いは何ですか?

外部ASVスキャン(Requirement 11.3.2)は、CVSS 4.0という固定の合否基準を用い、PCI SSC認定のApproved Scanning Vendorによって実施されます。 一方、内部脆弱性スキャン(Requirement 11.3.1)は、Requirement 6.3.1に基づき組織独自のリスク評価手法に従って実施され、しきい値は社内で定義されます。

安律国際は、QSAの期待に沿ったASVレポートを通じて、企業の継続的なコンプライアンス維持を支援します。スキャンの初期仕分けから異議申し立て対応まで、プロセス全体をサポートし、7〜10営業日以内にレポートをお届けします。

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安律国際、 PCIDSS公認ASVに正式認定!

📢安律国際、 PCIDSS公認ASVに正式認定!

🌏アジア太平洋地域で、4つのPCI認証を保有する数少ない
  コンプライアンス企業に

このたび、安律国際(Secure Vectors Technologies Inc.)は、 PCI SSCにより正式に PCI DSS 公認ASV として認定されました。これにより、より信頼性の高い業界水準の脆弱性スキャンサービスを提供してまいります。

PCI DSS、3DS、および PIN Security は、決済カード業界における最も重要な3つのセキュリティ基準です。

当社は、ガバナンス、プロセス管理、技術的セキュリティの各領域を網羅し、真の「ワンストップ」PCIコンプライアンスソリューションをお客様に提供しています。

🔍ASV:脆弱性スキャンとコンプライアンスのゴールドスタンダード

ASV は単なる脆弱性スキャンではなく、PCI セキュリティ基準評議会(PCI SSC)により認定された包括的な評価サービスです。
PCI DSS の要件に従い、カード保有者データを保管、処理、または伝送するすべての事業者は、四半期ごとに脆弱性スキャン報告書を提出する必要があります。
PCI SSC は、対象となるすべての金融機関や決済事業者に対して、認定スキャン業者(ASV)を利用してスキャンを実施し、公式かつ検証済みの報告書を作成することを義務付けています。
ASV 認定を取得するには、以下の 3 つの重要要件を満たす必要があります:

1️⃣ スキャンツール

ASV サービスの脆弱性検出手法(手動手順、ワークフロー、技術ツールを含む)は、PCI SSC の基準に従って既知のすべての脆弱性を網羅的に特定する必要があります。また、テストベッドによるスキャンと分析を 18時間以内 に完了しなければなりません。
2️⃣ 実行チーム
スキャンを実施するエンジニアおよびサービスマネージャーは、毎年 PCI SSC の専門試験に合格する必要があります。これにより、知識やサービスプロセスが PCI SSC の基準を満たしていることが保証されます。
3️⃣ 報告プロセス
公式に監査されており、結果の正確な解釈、誤検知(false positives)の適切な処理、一貫性と追跡可能性のある報告フォーマットの遵守が確保されています。
最終的に PCI SSC による審査と承認を経て初めて、企業およびそのスキャンソリューションは正式な ASV 認定を取得できます。このプロセスでは、ASV 提供者およびそのソリューションが以下の点で評価されます:

🔎検出範囲
複数のプロトコル層にわたる脆弱性を網羅的に検出できる能力

🎯評価の正確性
誤検知(false positives)と実際のリスクを正確に区別する能力

📋 報告の厳密性
監査対応可能なコンプライアンス証跡を提供できる能力

ASV:決済業界で世界的に信頼される存在

📅 2025年10月、Secure Vectors Technologies Inc. は正式に PCI SSC の審査を通過し、認定スキャン業者(ASV) として登録されました。
この認定は以下を意味します:
  • 業界での認知
    金融・決済分野の PCI DSS コンプライアンス監査では、ASV によるスキャン報告書のみが正式な証跡として認められます
  • 検証済みの技術・チーム・プロセス
    技術、チームプロセスのすべての側面が PCI SSC により検証済み です。
  • 決済業界で信頼されるベンチマーク
    アジア太平洋地域で QSA × 3DS × PIN Security × ASV 認証を保有する数少ないコンサルティング企業のひとつとして、弊社は企業が複数の規制枠組みにわたり継続的にコンプライアンスを維持できるよう支援します
  • 今後は、この達成を基盤として、金融・決済機関への ASV スキャンやコンプライアンス報告の支援にとどまらず、業界や地域を超えた外部ドメインの脆弱性スキャン、報告、および関連サービスの提供 を目指します。これにより、企業がコンプライアンスを ビジネス成長の優位性に変える サポートを行ってまいります。
ASV 脆弱性スキャンの専門サポートは、ぜひお問い合わせください
👉 お問い合わせはこちらから

FAQ

Q1: PCI DSS ASVとは?

ASV(認定スキャン業者) とは、PCI セキュリティ基準評議会(PCI SSC)に認定された外部脆弱性スキャンサービス であり、そのスキャンソリューションは PCI SSC により検証・承認されています。PCI DSS の要件 11.3.2 に基づき、組織は 四半期ごとに ASV による外部スキャンを実施 し、合格した報告書を受け取ることで、ほぼ 12か月分のコンプライアンス証跡 を維持する必要があります。

Q2:ASVと通常のスキャンツールの違いは?

ASV は単なるスキャンツールではなく、PCI SSC により認定された 包括的なスキャンソリューション です。
そのツール、実行チーム、手順、報告ワークフローはすべて公式のテストと監査を通過する必要があります。
また、PCI に認定された ASV のスキャン報告書のみが、PCI DSS コンプライアンス監査の正式な証拠として使用でき、金融・決済業界で広く信頼されています。

マイクロソフト、大規模セキュリティ更新を実施 130件の脆弱性に対応!

マイクロソフト、7月の「Patch Tuesday」で130件の脆弱性を修正

SQL ServerにおけるPCI DSS関連リスクも判明

 

2025年7月9日、マイクロソフトは今月の定例更新「Patch Tuesday」を公開し、合計130件のセキュリティ脆弱性を修正しました。このうち10件は「緊急(Critical)」と評価されています。更新対象には、SQL Server、Windows、Office(Word、PowerPoint、Excel)など、主要なマイクロソフト製品が含まれます。

■ PCI DSSにも関連する重要な脆弱性

今回の修正の中で特に注目すべきは、Microsoft SQL Server における情報漏洩の脆弱性(CVE-2025-49719、CVSSスコア:7.5)です。

この脆弱性により、攻撃者が初期化されていないメモリを読み取れる可能性があり、パスワードや暗号鍵などの機密情報が漏洩するリスクが指摘されています。

Rapid7 の Principal Software Engineer である Adam Barnett 氏は、

攻撃者がすぐに意味のあるデータを取得できるわけではないが、熟練した操作により暗号鍵など重要情報を抽出できる可能性がある。

と警告しています。

また、Action1 の社長 Mike Walters 氏は、

脆弱性の原因は SQL Server のメモリ管理における入力検証の不備にあると考えられる。これにより認証情報、接続文字列、その他の機密データが漏洩する可能性がある。

と指摘しました。影響範囲は SQL Server エンジンおよび OLE DB ドライバーを利用するアプリケーションに及びます。

■ セキュリティ専門家からの警告

セキュリティ専門家は以下を強く推奨しています:

  • システム管理者およびITチームは、直ちに今回の更新プログラムを適用すること
  • 特に Microsoft SQL Server を運用している組織においては、大規模悪用のリスクを未然に防ぐための早急な対応が必要

 

出典

#Microsoft #CyberSecurity #PatchTuesday #InfoSec #VulnerabilityManagement #PCI #SQLServer #WindowsSecurity


 

【Secure Vectorsのセキュリティ豆知識】

📌 CVSSとは?

CVSS とは Common Vulnerability Scoring System(共通脆弱性評価システム) の略称です。これは、報告された脆弱性を 標準化された、再現性のある方法で評価・ランク付けする仕組み を指します。このスコアによって、組織はさまざまなセキュリティリスクへの対応優先度を決定することができます。

CVSS は、脆弱性の重大度に応じて 0 から 10 までのスコア を算出します。
10 が最も深刻であり、以下のような要素に基づいて評価されます:

  • 脆弱性がどれだけ容易に悪用できるか
  • 機密性・完全性・可用性への影響度
  • 攻撃の複雑さ

最適なPCI DSS SAQ(自己評価)とは?

最適なPCI DSS SAQ(自己評価)とは?

PCI DSS Self-Assessment Questionnaire(以下「SAQ」)は決済システムの準拠状態をチェックするための自己評価で、レベル2~4の加盟店およびレベル2のサービスプロバイダに適用されます。

SAQは、事業者がPCI DSSの各要件を満たしているかどうかを評価するためのチェックシートです。たとえば、VISAなら取引件数が年間600万件未満の加盟店と取引件数が年間30万件未満のサービスプロバイダに適用されます。

Table of Contents

SAQを実施する前に、次の5つを行いましょう。

  1. 自社に適用されるSAQのタイプを選ぶ
  2. PCI DSSの対象範囲が正しいことを確認する
  3. 自社に適用されるPCI DSSの要求事項を満たしているかどうか自己評価する
  4. SAQの各セクション(評価情報、自己問診、検証と認証の詳細)に記入する
  5. アクワイアラなどから求められた際は、SAQ結果、AOC(準拠証明書)、関係資料を提出する
このうち最も重要なのが、自社に適用されるSAQのタイプを選ぶことです。
 
たとえば電子商取引の場合は、次のいずれかのタイプになるでしょう。

サービスプロバイダ

に適用されるのは「SAQ D–サービスプロバイダ用」のみです。これは、「SAQ D–加盟店用」の項目に加え、文書の有無および顧客への提供、ポリシーおよび手順の調査、システム構成設定の調査、警告の有無、ペネトレーションテスト(侵入テスト)の記録などに関する項目が追加され、計259項目もの質問で構成されています。

加盟店

  1. SAQ A

    決済システムをサービスプロバイダに完全に外部委託している(決済ページでURL RedirectやiFrameを使用している)事業者に適用されます。SAQ Aでチェックされる内容は文書、システム構成設定の調査、ポリシーおよび手順の調査、データの保管と削除、外部脆弱性スキャンのレポート等です。SAQ Aは全タイプのうち最も短く、質問は29項目しかありません。
  1. SAQ A-EP

    決済システムをサービスプロバイダに外部委託しているが、決済ページは自社で設置している加盟店に適用されます。SAQ A-EPのチェック内容には、上述したSAQ Aの項目に加え、ネットワーク管理、サーバ管理、情報セキュリティ、脆弱性管理、アクセス制御、ネットワークの定期的な監視とテストなどがあります。加盟店がペイメントサービスの一部に関与していることから、要件が大幅に増加しています。
  1. SAQ D for Merchant

    決済システムを自社で設置しているか、または取引の過程でカード会員データを電子的に保存している加盟店に適用されます。チェック内容は上述のSAQ A-EPよりもさらに広範になり、PCI DSSの加盟店向けの要件がすべて含まれています。

PCI DSS SAQは10種類あり、提供するペイメントサービスによって異なるSAQが適用されます。どれが適用されるかは一般にアクワイアラから通知されるか、もしくはQSAがCDE(カード会員データ環境)やカード会員データ(カード番号など)に関わる手順、データフローなどを確認し、適用されるタイプを正確に判断します。また、こちらのPCI DSS SAQのタイプ説明を参考にすれば、大まかな判断が可能です。

PCI DSS SAQは毎年定期的に実施、更新する必要があります。PCI DSSのことがまだよくわからない、SAQのタイプの違いについてもっと詳しく知りたいという方は、QSAやQSACに専門的なアドバイスを求めることで、効率的かつ適切なPCI DSS準拠を実現できるでしょう。

キーワード:PCI DSS SAQ、自己評価

PCI DSS認証早わかり:情報セキュリティ初心者でも簡単に認証取得

    【PCI DSS認証早わかり
情報セキュリティ初心者でも簡単に認証取得

EC取引、リモートワーク、フードデリバリープラットフォームでの取引などが引き続き成長を見せた2024年。越境取引やオンライン決済が急速に伸びるなか、カード会員データのセキュリティがとりわけ重要になっています。消費者の個人情報の盗用や悪用を防ぐため、ペイメントカード業界セキュリティ基準審議会(PCI SSC)は、カード会員データを保存、処理または送信するすべての事業者に対し、PCI DSSの要件に準拠するよう求めています。簡単に言うと、PCI DSSでは12の要件とそのサブ要件で様々なセキュリティ対策を定め、カード会員データの保護を図っているのです。

アクワイアラや管理機関からPCI DSS準拠を求められ、
どうしたらいいかわからないときに最も大事な5つの質問(2W3H)

目次

What - PCI DSSとは?

PCI DSSは、Payment Card Industry Data Security Standardsの略で、カード会員データへの未承認のアクセスや不正利用を防ぐことを目的とした、国際組織Payment Card Industry Security Standard Council(以下「PCI SSC」)が策定・管理するクレジットカードの情報に関する一連のセキュリティ基準です。

PCI SSCは主要国際カードブランドのAmerican Express、Discover Financial Services、JCB、MasterCard、Visa、UnionPay(銀聯)によって組織されています。PCI DSSは、これらのブランドのカード会員データを取り扱う際のセキュリティについて定めた業界共通の基準で、カード会員データを保存、処理、または伝送するすべての事業者が対象となります。これらの国際ブランドのカードを取り扱う加盟店(Merchant)やサービスプロバイダ(Service Provider)はいずれも、規模や取引量にかかわらず、PCI DSSに則ってカード会員データを保護する必要があります。

Who – 対象は?誰が支援してくれる?

PCI DSSへの準拠が必要な事業者は?

カード会員データを保存、処理、または伝送するすべての事業者は、PCI DSSの要件に準拠しなければなりません。

事業者は、どのようにカード会員データを保存、処理、送信するかによって、タイプ分けとレベル分けがされます。まずは自社が加盟店(Merchant)なのか、それともサービスプロバイダ(Service Provider)なのかを判断しましょう。

加盟店とは、製品の販売やサービスの提供により、カードで代金を受け取る事業者を指します。したがって、カード払いを受け付ける実店舗やオンラインショップは、バーチャル製品またはサービスのダウンロード販売・提供、大型デパートを含め、すべて加盟店ということになります。

サービスプロバイダとは、カード会員データを伝送、処理、保存(Transmit、Process、Store)する、またはカード会員データのセキュリティを制御する、もしくは当該セキュリティに影響を与えるサービスを提供する事業者を指します。たとえば、第三者決済処理業者、決済サービスや電子ウォレットなどのサービスを提供する決済代行会社、ネットモールのほか、バーチャルホストサービスを提供するデータセンターやクラウドサービスを提供する事業者等もサービスプロバイダとなります。

自社が加盟店かサービスプロバイダかが分かったら、次にPCI DSSのレベルを判定しましょう。

レベル1:加盟店およびサービスプロバイダ

PCI DSSのQSA(Qualified Security Assessor、認定セキュリティ評価者)の訪問審査を受け、報告書を受け取ります。

レベル24:加盟店およびレベル2のサービスプロバイダ

PCI DSS自己問診票(Self-Assessment Questionnaire、以下「SAQ」)を使用して自己評価します。QSAの支援を受ければ、より早く正確に評価を完了できるでしょう。

誰がPCI DSSの認証取得を支援してくれる??

特に、レベル1の加盟店やサービスプロバイダが初めてPCI DSS認証取得を目指す場合は、プロの支援を受けることをおすすめします。

QSA (Qualified Security Assessor)

QSAは、PCI SSCの認定を受けた訓練と認定を受け、PCI DSSの審査を行い、準拠報告書(ROC)と準拠証明書(AOC)を提出する権限を与えられた専門の評価者です。QSAは、最新のPCI DSSに関して定期的に講習を受けて試験に合格し、その都度資格を更新する必要があります。QSAの訪問審査は、レベル1の加盟店およびサービスプロバイダの必須要件となっています。

QSAC (Qualified Security Assessor Company)

QSACは、QSAを雇用して専門の審査および支援サービスを行う企業です。PCI DSSの具体的な要求事項を解説し、いかにして安全な決済環境を構築するかについて指導します。

QSAQSACはどう選ぶ?

  1. [PCI SSCの公式サイト]で認定を受けたQSAやQSACを検索できます。
  2. 同業者やパートナーに聞く:PCI DSSの審査を受けたことのある企業に話を聞き、優良なQSAやQSACを紹介してもらうのもよいでしょう。
  3. 評価・事例の分析:隠れたQSA・QSACの口コミや事例を分析し、経験や専門知識の有無を確認しましょう。
  4. 直接問い合わせ:複数のQSAやQSACから、サービスの範囲、費用の基準、作業の流れなどについて話を聞いてみましょう。このようにして自社に合ったQSAやQSACを見つけ、PCI DSS認証取得までしっかりサポートを受けることで、決済環境のセキュリティを守り、準拠を実現しましょう。

How - どうやって?

PCI DSSの認証取得は通常、4つのフェーズに分けられます。

1.  環境準備フェーズ:審査対象環境の確認、およびコンサルティングの段階

**審査対象環境の確認**

– 基礎評価:まず現行のセキュリティ対策を評価し、ギャップおよび改善すべき点を特定します。

– スコーピング:PCI DSS準拠対応が必要なシステム、ネットワーク、アプリケーションの範囲を確定します。

**コンサルティング**

– コンサルタントやQSAに依頼:自社に合ったQSAやQSACを選び、審査対象環境の確認、今後の改善プロセスの指導、審査の段取りといった支援を受けます。

– セキュリティ訓練:従業員に関連するセキュリティ訓練を行い、全体的なセキュリティ意識を高めます。

2. 資料準備フェーズ:必要な制御措置を準備・実施

**資料準備**

– ポリシーと手順:PCI DSSの要件に準拠するようセキュリティポリシーおよび運用手順を策定・変更します。

– 文書収集:準拠を証明するために必要な書類やエビデンスを揃えます。

3. 審査フェーズ:QSAによる訪問審査

**審査の実施**

– 内部評価:正式審査の前に内部で自己評価を実施し、すべての問題が解決されていることを確認します。

– 訪問審査:QSAが訪問審査を実施します。実際に基準に準拠した運用がなされているかどうか検証します。

4. 報告フェーズ:QSAが準拠報告書と準拠証明書を発行

**報告と認証**

– 報告書の作成:QSAがROC(準拠報告書)とAOC(準拠証明書)を作成します。

– 報告書の提出:AOCにはPCI DSSの認証に必須の情報が記載されます。ROCには詳細な機密情報が記載されますが、AOCには機密性の高い情報は記載されませんので、カードブランド、アクワイアラ、提携企業などの関係機関から求められた場合は、AOCを提出することをおすすめします。

– 証明書の発行:準拠証明書を受け取った事業者は、PCI DSSの基準に準拠していることになります。

PCI DSS Compliance Timeline_JA

How long – 期間はどれくらいかかる??

初めの審査対象環境の確認から最後の報告書の提出まで、PCI DSSの認証取得には通常3~5か月かかります。認証取得までの主なフェーズおよび各フェーズは次の通りです。

  1. 準備フェーズ(1~2か月):審査対象環境の確認、およびコンサルティングの段階
  2. 資料準備フェーズ(1か月):必要な制御措置を準備・実施
  3. 審査フェーズ(5~7日):QSAによる訪問審査
  4. 報告フェーズ(半月~1か月):QSAが準拠報告書と準拠証明書を発行

実際にかかる 期間は、以下の要因によって異なる場合があります。

– 準備状況:事業者の事前の準備が十分であるか、比較的良好であり、セキュリティ対応の土台がしっかりしている場合は、より早く準拠が実現できます。

– システムや運用プロセスの複雑さ:IT環境、ネットワーク構成、運用プロセスの複雑さも認証取得までのスピードに影響します。

– 投入するリソース:事業者が投入するリソース(人手、時間、予算)およびプロジェクト管理の効率。

スムーズに認証を取得するためには、以下の点が重要です。

– 事前準備:できるだけ早く準備を始めましょう。特に文書やポリシーの整理には早めに取りかかるようにしましょう。

– 効果的なコミュニケーション:準拠作業全体を通じてPCI DSSのQSAとこまめに連絡を取り、問題に気が付いたら、すぐに解決しましょう。

– 維持と改善:認証取得後も引き続きセキュリティ対策の維持と改善に努め、長期的にPCI DSSへの準拠状態を維持しましょう。

How much - 費用はいくらかかる?

初回の認定では、PCI DSSの要件を満たすために、ハードウェアやソフトウェアの新規導入が必要となる可能性があります。以下に費用項目をリストアップしました。

1. システム関連費用:

Webサーバ、アプリケーションサーバ、DBサーバなどの機能ごとにサーバを分割しなければならないため、機器増設または仮想サーバ設置が必要となる可能性があります。また、NTPサーバ、FIMサーバ、ログサーバなどのセキュリティコンポーネントの実装も必要です。

2. セキュリティ機器の費用:

ファイアウォール、ルーター等のネットワークセキュリティシステム(NSCs)、不正侵入防御/検知システム(IPS/IDS)、WAF(Webアプリケーションファイアーウォール)等の増設が必要となります。

3. データ暗号化機器の費用:

カード番号(PAN)の暗号化には、セキュリティ確保のため、HSM(ハードウェアセキュリティモジュール)の導入が必要となる可能性があります。

4. 従業員の訓練費用:

PCI DSSでは、セキュリティ意識向上トレーニング、セキュアな開発に関するトレーニング、インシデント対応計画の訓練などを実施するよう求めています。従業員はセキュリティに関して十分な技術的トレーニングを受ける必要があります。

5. テクニカルテスト費用:

定期的に内部・外部の脆弱性スキャン、ペネトレーションテスト(侵入テスト)、ワイヤレススキャン、カード会員データのスキャン、コードレビュー等を行う必要があります。

6. その他の費用:

サービスプロバイダは、VISAやMasterCardなど、カードブランドにサービスプロバイダ登録する必要があります。

これらの費用のほか、PCI DSSの審査・認証費用があります。これは、PCI DSSのQSAによる審査および報告書作成にかかる期間によって決まります。

越境EC事業者、サードパーティのキャッシュレス決済会社、サービスプロバイダ等は、PCI DSSへの準拠が非常に重要となります。準拠要件の実施によって得られるのは、アクワイアラや管理機関に提出する準拠証明書だけではありません。データの漏洩や盗用のリスクから企業を守るとともに、取引に関する消費者からの信頼向上にもつながります。

PCI DSSの要求事項は、認識から理解、エビデンスの提供、認証取得、認証取得後の準拠状態の維持まで、合わせて400項目を超えます。

QSACの支援を受ければ、短期間で効率的に準拠を実現できます。さらに、認証取得後も準拠管理システムの自動監視機能、アラート機能、定期的なデータ提出機能、リアルタイムの状態監視機能などを利用することで、常に準拠状態を維持し、セキュリティを守ることができます。

 
*弊社サービスの詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください

2022年4月からBINコードが上8桁に。システム変更の準備は万全ですか?

2022年4月に入ってから、国際カードブランドは決済事業者に対し、新たに導入された8桁のBIN(銀行識別番号、Bank Identification Number)にシステムを対応させるよう、次々と要求しています。カード決済に関わる川上・川下の企業はすでに、システムや取引データの処理、さらにはカード売上票に印刷されるカード番号の形式までを8桁のBINに対応させるよう求める銀行からの通知を受け取ったことでしょう。

BINの形式変更は、クレジットカードを取り扱う業界にどのような影響を与えるのでしょうか?

まず、発行済みの6桁のBINコードは引き続き使用できますが、今月(2022年4月)以降に新たに発行されるカードのBINは基本的に8桁となります。今のところ、カード番号は従来通り16桁(American ExpressとDiscoverは15桁以下)のままなので、イシュアやカード発行システムへの影響はそれほど大きくはないでしょう。しかし、これまでカード番号の7桁目と8桁目をカードのレベル、種類などに使用してきた方式は、8桁のBINに対応して変更する必要があります。

しかしながら、当面は6桁と8桁のBINが取引システムやネットワークに併存することになります。そのため、ATMシステム、取引システム、決済システムといったBINを利用して取引のルーティング(Routing、BINでイシュアを識別)を行うシステムや、決済事業者が現在自社カード取引のルーティング(Routing、BINに基づいて自社カードの決済システムに送信)に使用している機能は、6桁と8桁の併存段階で起きるエラーを防ぐため、8桁のBINに対応しなければなりません。

次に、カード会員データを保存する際に、データ保護措置としてトランケーション(Truncation)技術を採用している場合ですが、今年1月、PCI SSC(ペイメントカード業界セキュリティ基準委員会、Payment Card Industry Security Standards Council)から、各カードブランドで許容可能な新しいトランケーション形式が正式に発表されました。これも、皆さんが関心を持たれている話題でしょう。

新しいBINコードに対応して、保存形式も変更する必要があります。6桁と8桁が併存することを考慮すると、画面への表示やトランケーション処理後のカード番号の保存にどう対応したらよいのでしょうか?

2021年2月、PCI SSCは「8桁のBINの使用を開始する場合、PAN(プライマリアカウント番号)のマスキングとトランケーションに関するPCI DSSの要件にどう対応するかについてのFAQ」を発表しました(https://www.pcisecuritystandards.org/faqs FAQ #1492を参照ください)。以下はその概要です。

1. マスキング:PCI DSS要件3.3では、一般的な状況においては、PANの先頭6桁と末尾4桁のみ表示するとされています。

先頭6桁と末尾4桁より多く(たとえば先頭8桁と末尾4桁)を表示するためには、正当なビジネスニーズがあり、かつ取扱者(または役割)、理由が記載された文書を作成し、会社の上級管理者の許可を得る必要があります。

2.トランケーション:PCI DSS要件3.4では、カード番号を保存する際に読み取り不可能(Rendered Unreadable)な形にしなければならないとされています。その方法の一つがトランケーション(Truncation)です。PCI DSSのガイダンスでは一般的なトランケーション形式を先頭6桁と末尾4桁としていますが、カードブランドによってトランケーション形式に関する規定が異なるため、この文章(FAQ #1492)内に別途補足説明としてFAQ番号1091「許容可能なカード番号トランケーション形式」が附されています(2022年1月更新)。

今年1月以降の許容可能なトランケーション形式は、次の通りです。

カード番号/BINの長さ カードブランド 許容可能なトランケーション形式
16桁のカード番号

6桁または8桁

Discover

JCB

Mastercard

UnionPay

Visa

少なくとも4桁を削除すること

保存可能な最大桁数:先頭8桁+他の4桁

15桁のカード番号 American Express 少なくとも5桁を削除すること

保存可能な最大桁数:先頭6桁 + 末尾4桁

15桁未満のカード番号 Discover 保持可能な最大桁数:先頭6桁+他の4桁

出典:https://www.pcisecuritystandards.org/faqsFAQ番号1091

今回の更新により、6桁のBIN8桁のBINとの間におけるトランケーション形式の区別がなくなったことに注意が必要です。まとめると、

  1. VISA、Mastercard、JCB、Discover、UnionPay(銀聯)は、16桁のカード番号の先頭8桁 + 他の4桁の形式を許容
  2. American Expressは先頭6桁 + 末尾4桁の形式のみを許容
  3. 15桁未満のDiscoverは、削除する桁数にかかわらず、すべて先頭6桁 + 他の4桁の形式を許容

同時に、カードブランドでは、これらのトランケーション形式は「許容可能」ではあるが、「必要最小限のデータのみ保持する」という観点から、形式の変更に合わせて直ちに自社のシステムを変更する必要はないとしています。

なお、トランケーション関連のセキュリティ保護については、以下の事項にも注意してください。

  1. PCI DSSでは、SHAハッシュ方式を同時に使用するシステムでは、先頭6桁 + 末尾4桁を保存する場合、先頭8桁 + 末尾4桁を保存する場合のいずれにおいても注意が必要だとしている。トランケーション形式とSHA形式のデータを同時に保存した時、特に先頭8桁 + 末尾4桁の形式の場合、4桁しか削除されないことになるため、SHA形式で同時に保存すると、正確なカード番号を割り出せてしまう確率がより高くなる。
  2. 先頭8桁 + 他の4桁のトランケーション形式を使用する場合、MOD-10の公式に適合するのは残り1000件のデータだけである。つまり、この1000件のうち少なくとも1件は真のカード番号ということになる。したがって、カード番号を再現されたり、算出されたりするリスクを下げるため、データベースへのアクセス制御に関しては、より厳しい制御や内容のチェックが必要となる。

参考資料:https://www.pcisecuritystandards.org/faqs

  • FAQ No. 1492: How can an entity meet PCI DSS requirements for PAN masking and truncation if it has migrated to 8-digit BINs? (by Feb. 2021)
  • FAQ No. 1091: What are acceptable formats for truncation of primary account numbers? (by Jan. 2022)

Bryan Cheng

SecureVectors PCI認定コンプライアンスQSAおよびコンサルタント - PCI QSA and Senior Consultant
  • Payment Card Industry Security, IT Security Management, Cloud Service Management
  • 專業認證:PCI DSS QSA, CISSP, ISO27001 LA, BS10012 LA, MCSE, MCITP, TUViT Privacy Protection Consultant

脆弱性Sequoia(CVE-2021-33909)をPCI DSSのプロが解説

今回明らかになったLinuxの脆弱性は、すべてのLinuxカーネルのOSに関わります。この脆弱性は、Linuxファイルシステムのsize_tからintへの変換を利用して、権限を昇格させられるというものです。root権限を持たない悪意あるユーザーは、1GBを超える長いディレクトリパスを利用してLinuxのファイルシステム内にマウントし、バッファオーバーフローを引き起こして、悪意ある権限昇格を実行します。

PCI DSSの視点から見て、最も懸念される点はOSアカウントのセキュリティです。ホストへのログインが必要かどうかという点から見て、必要のないユーザーのログインを制限して、ディレクトリのマウントやeBPFの使用ができないようにするほか、適切なセキュリティパッチをインストールすべきでしょう。重大なリスクがある場合は、30日以内に新しいパッチを適用してください

  • OSアカウントのセキュリティ(PCI DSS Req. 2.1):サーバ上の不要なデフォルトアカウントが削除されているか、無効となっていることを確認してください。不要なユーザーがログインし、脆弱性を悪用して攻撃することのないよう、すべての機器のデフォルトアカウントが削除されているか、無効になっていることを確認してください。/etc/passwordファイル内のアカウント設定がすでに削除されているか「nologin」に設定されていることを確認するとよいでしょう。
  • 重大なリスクがある場合は30日以内にパッチを適用する(PCI DSS Req. 6.2):ベンダが提供するセキュリティパッチを適用し、すべてのシステムコンポーネントおよびソフトウェアを既知の脆弱性の影響から守ってください。重要なセキュリティパッチは、ベンダが公開してから1か月以内に適用してください。

OSベンダが関連するパッチを公開しているかどうか確認し、なるべく1か月以内にOSのパッチを適用してください。OSベンダがパッチを公開していない場合は、緩和措置を取ってください。

今回Qualysのセキュリティ研究チームが発表した脆弱性(CVE-2021-33909)に対応するため、現在、各システムベンダが相次いで更新パッチを公開しています。これまでに収集されたリスク判定パッチは下表のとおりです。

出所リスクレベル
NESSUS https://www.tenable.com/cve/CVE-2021-33909CVSS (v2) 7.2
NIST NVD https://nvd.nist.gov/vuln/detail/CVE-2021-33909CVSS (v3) 7.8
Redhat https://access.redhat.com/security/cve/cve-2021-33909CVSS (v3) 7.0
CVE https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2021-33909Source: MITRE

2021年9月10日更新

Qualysのセキュリティ研究チームがこれまでに脆弱性を利用してroot権限の取得に成功したOSは、Ubuntu 20.04、Ubuntu 20.10、Ubuntu 21.04、Debian 11、Fedora 34 Workstation等です。ただし、その他のLinux OSであっても、今回の脆弱性を悪用した攻撃を受ける可能性があります。Linuxサーバの各バージョンに対応するセキュリティパッチを以下にまとめました。

OS  セキュリティパッチのリンク

パッチがまだ公開されていない場合には、まずこちらの緩和措置を実施してください。

0に設定

技術の詳細はこちら:

運営体制セキュアパッチリンク
Redhathttps://access.redhat.com/security/cve/cve-2021-33909
CentOShttps://centosfaq.org/centos/its-been-six-days-since-cvd-2021-33909-was-patched-in-rhel-whats-the-holdup-for-stream-8/

https://centos.pkgs.org/8-stream/centos-baseos-x86_64/kernel-4.18.0-326.el8.x86_64.rpm.html

SUSEhttps://www.suse.com/security/cve/CVE-2021-33909.html
ubuntuhttps://ubuntu.com/security/CVE-2021-33909

2021年 9月 10日更新

パッチがまだ提供されていない場合は、まず緩和策がある。

sysctl kernel.unprivileged_userns_clone=1   #  unprivileged_userns_clone に設定する。 0

sysctl kernel.unprivileged_bpf_disabled=1   #   unprivileged_bpf_disabled に設定する。 1

技術的な詳細については:https://www.qualys.com/2021/07/20/cve-2021-33909/sequoia-local-privilege-escalation-linux.txt


Max Tsai

PCI シニア・コンプライアンスQSAおよびコンサルタント - PCI QSA and Senior Consultant

• Payment Card Industry Security, IT Security Management, Cloud Service Management
• 專業認證: PCI DSS QSA, CISSP, ISMS LA


 Secure Vectors Information Technologies Inc., 当社は、技術テスト、コンサルティング、コンプライアンスサービスなど、ペイメント業界のセキュリティ管理サービスを専門とする企業です。当社のサービスには、PCI DSS、PCI 3DS、PCI PIN Securityなどのペイメントカード業界のセキュリティ基準、個人データ保護やGDPRのコンプライアンスチェック、コンサルティングサービスなどが含まれます。米国、中国、シンガポール、ベトナム、台湾に拠点を持つアレジスは、あらゆるサービスを提供しています。コンプライアンス関連製品には、認証サービス(コンプライアンス監査)、コンプライアンス・セキュリティ・エスクロー、コンプライアンス管理プラットフォームなどがある。

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